花嫁と咎人
「恐らく昨日からの雨で、王国騎士団は足止めを食らってると思う。」
「あのオーダ河…多分決壊してるよなー。」
3人で地図を囲みながら、これからの進路を決める。
私は二人の意見にうんうんと頷くばかりだけど、どうやらハイネはこの国を出るつもりでいるらしい。
いま、目指すべきは4番街。
最終的には港へ。
「とりあえず、今出るのが吉だ。王国騎士団が3番街に入ってきたら、中々思うように動けなくなるからな。」
まぁ、多少の雨は我慢しろと、ハイネは言った。
「道のりはこうだ。まず…」
ここ、テラスパーレを出て南西の方角を目指して進む。
すると中央都市“アリエスタ”がある。
そこで必要な物資を揃えて、今度は西へ。
途中小さな村に止まりながら、西に進むと小規模な砂漠が広がってくる。
そこにあるのが砂の町“サザルツ”
その奥に4番街に続くでかい洞窟があるから、そこに暫く身を潜める。
「できるもんなら、ここから一気に4番街に行っちまいたい所だったんだが、丁度境界線辺りにでかい崖がある。」
そう言ってハイネは地図を指差した。
すると、本当に大きな崖があって…もしここで足止めを食らったら、まるで袋の鼠。
王国騎士団からは逃れられないだろう。
「だからあえて人が密集している“アリエスタ”に向かう事にした。だが、滞在時間はなるべく少なく。…恐らく国関係の奴がうじゃうじゃいるに決まってるからな。」
それから彼はああ、と一言付け足した。
「砂の町“サザルツ”には原住民がいるらしい。」
げ、原住民。
思わず私はうーんと唸ってしまった。
原住民の人たちって…一体どんな姿をしているのかしら。