花嫁と咎人
「とりあえず、今後の予定はこんな所だ。3番街は他の街に比べて遥かに規模が大きい。…絶対にはぐれんなよ。」
そして、早速私達は出発の準備に取り掛かった。
食料品は勿論、お金になりそうなものや、沢山の蝋燭とマッチ、ランプ。
何本かのナイフと、それなりの装備。
寒さをしのぐ為の毛布は…何故か私が担当する事になった。
「寒かったら羽織れ。」
彼はそう微笑むけれど、正直凄く重い。
これは…ハイネの優しさと取ってもいいのかしら…?
そんな事を思いながらも時は経ち、数十分後。
私達は家の中の物をあさるだけあさって、外に出る。
「グッバイ、オレの家!」
名残惜しそうにオズがそう言うけれど、根本的にここは彼の家では無い。
「オズの彼女の家、ね。」
「間違いない!」
オズの提案により、敬語はあっという間に排除になったが…彼は未だに私をちゃん付けで呼んでくる。
なんでもこの方が微妙な距離感があって良いんだとか。
「ってか、お前なんで着いてくんだよ。どっかいけよ。」
道中、彼は何回もハイネにそう言われていたが、
「いや待って、さっきオレ達三人で色々相談したよね。」
と、口をへの字に歪めながら声を震わせるオズ。
しかし「え?お前いたっけ?」などとハイネにからかわれたオズは、酷い泣き真似をしながらいちいち私に抱きついてくる。
「フランちゃん、ハインツが苛めてくるゴフッ」
勿論、私の背中の毛布で撃退。
なんだか私、たくましくなったような気がします。