花嫁と咎人
思わずハイネの方を見ると、なんと彼はそれを手で食べていて。
「手!?」
と驚く私をよそに、
「はぁ?」
と首を傾げるハイネ。
「何してるんだよ、早く食えよ。」
彼は私を見て、そう言うけれど…
「手で食べるの?…手で?」
何度もハイネとゾリアを交互に見てしまう私。
…手で。
今まで作法ばかり学んできた私にとっては驚愕の食べ方だった。
どんな時も手を使うべからず。
「…は?え、ゾリアって手で食うもんだろ…」
でも、それはもう通用しない。
思い切ってゾリアを三本指で掴んでみる。
…ぼろ、ぼろぼろ。
お米が見事に指からすり落ちて、口まで運べない。
「…う、うぅ…。」
何度も何度もやっている内に、見かねたハイネが色々とコツを教えてくれて。
「ご馳走様でした…!」
まぁ、食べ終わるまでに物凄く時間がかかってしまったけれど。