花嫁と咎人
独特な空気が流れる中…ゆっくりと俺達は町の中に足を踏み入れる。
多くの人は真っ白な布を頭からスッポリ被り、部外者の俺達を異質な目で見てきた。
―感じ悪いな。
そう思いながらも、白いレンガで出来た家をまじまじと見る。
どうやら日差しと砂に強い造りになっているらしい。
壁の隙間は密閉され、わざと水をかけて湿らせてあるようだ。
そう、半ば観光気分で見回していた時、突然前触れもなく白い集団が目の前に立ち塞がった。
「……?」
彼らは口々に聞いたことも無い言葉を発し、そして、白い布の中から刃のついた武器を取り出す。
「おいおいおい。」
…まさかここでやり合おうってのか?
後ろに居たフランをかばうように手を回し…サーベルの柄に手をかける。
「オレ達、敵意ナーイ。分かる?喧嘩、イヤイーヤ。」
フランを中心に背中合わせに立つオズがそう言うが、どうやら逆効果だったらしい。
白い集団は一気に俺達に襲い掛かって来て…。
「こりゃ、駄目だな!」
俺は思い切りサーベルを引き抜いた。
「…っきゃあ!」
頭を抱えるフランをオズと守るようにして斬撃を防ぐ。
オズは短剣を投げ、長い弓を振り回して防御を。
俺はサーベルで攻撃を。
実の所、オズは歴史に名を馳せる、史上最強と謳われた弓の名手の子孫だったりする。
彼に狙われたらどんな生き物も心臓をぐさり。
なのだが、今の状況ではそれが生かせない為、少し不満そうだ。