花嫁と咎人

「…、鈍ってないね、ハインツ!」


「お前もな。」


お互い、一緒に戦うのは数年ぶりだった。
どこだろうと暴れまわっていた昔が、少しだけ懐かしい。

すると突然敵の一人が俺達の間に割り込んで来た。
そいつは武器を構え、手を振り上げる。


「…いやっ!」


そして最悪な事にその先にはフランが―。

っ、しまった…!


「フラン!」


…そう、叫んだ時だった。


「―――――。」


突然屋根から何者かが飛び降りてきた。


「!?」


小麦色の肌を持ち、ほぼ同色の髪をポニーテールにして…短いズボン、薄手の服を着ただけの少女。

彼女は両手に拳をつくり構えると、


「――――!」


何かを叫ぶなり、近くにいた敵一人を殴り倒したのだ。

なんだ、こいつ…!

そしてすぐに俺達を見ると…


「来い!」


今度は分かる言葉で俺の手を引く。


「ちょ、お、おい!」


強引に引かれるがまま俺達はその場を走って逃げた。

白い服の集団は口々に叫びながら、そんな俺達を追いかけてきたが…やがて諦めたのか、ばらばらと退散していって。



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