花嫁と咎人

「こんな荒れた町を見物しにきたの!?見るからに金持ちそうだもんな!
どうせ中心部の奴らなんかに…アタシ達の気持ちなんて分かるわけがない!」


そう言い放つと、


「用がないなら早く去れ!」


今度は俺を突き飛ばす。

―んだよ、この女!

舌打ちして女を見たその時、隣でずるりと何かがしゃがみこんだ。

まさか。

そう、その音の方向にいたのはフラン。

恐らく急な戦闘で驚いたせいで、気を張りすぎたのだろう。


「ちょ、フランちゃん…大丈夫!?」


慌てふためくオズ。


「ご、ごめんなさい、少し驚いただけだから…。」


俯くフランの瞳から涙がほろほろと零れ出したのを見た時、不意に、心が疼いた。

俺は目の前の女から視線を離し、フランの横に座り込むと震えるその体を静かに抱きしめる。


「大丈夫だ。」



こいつの泣き顔を見ると、どうにも調子が狂う。

いつも笑っていて欲しいと願ってしまう自分がいる。

フランが笑うなら、何をしたって構わない。

自分のプライドを捨てたって構わない。




嗚呼、どうしてこんな風に思うんだ…。

いつから俺は…。


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