花嫁と咎人
「…どうにも…泣かれると弱いんだ。」
そしてそれを手渡され、女も腰をかける。
念には念を重ねて、俺はその水をじっと見て警戒するが…
「なんにも入れてないよ、失礼だな。」
と、言われ…一気にそれを飲み干した。
「ふー!オレ、ミイラにならずに済んだよ!うぶっ」
「うるせぇ。」
今日初めて水を飲んだ感動からか、くどい程何度も言うオズの顔を抑えつける。
…そして俺は再び女に目を向けた。
一体、どういう風の吹き回しだ?
すると女はやれやれといった感じにフランに目を向けると、
「その子、女だろ?男の格好してたから最初は分かんなかったけどさ、自分の事私とかいうし、声高いし。」
ふふっと笑って頬杖をつく。
「それに…なんかワケ有りみたいじゃないか。てっきり興味本位の観光客かと思ってたけど、なんかあんた達…違うみたいだね。」
「………。」
そして暫くの沈黙が流れた時、女は「あ」と声を上げると…突然俺の目の前に手を差し出してきた。
「アタシ、ジィン。ジィン・エルリッシ。曲がった事が嫌いな17歳。特技は殴る事。」
そして、にっと歯を見せたまま、
「宜しく!」
俺の手を強引に握りぶんぶんと振り回す。
「…ど、うも。」