花嫁と咎人
そんな彼女はジィンと俺達を交互に見張ると、眉間にしわを寄せて言った。
「お姉ちゃん。…どういうつもり?」
「はー?襲われてた旅人さん達を助けてやったんだ。」
口調からしてジィンの妹のようだ。
一応俺達は、急いで4番街へ行きたいワケ有り旅人という事にしてある。
用心する事に越した事はない。
「だからって…!」
だが、妹の方はジィンを睨んだままで。
持っていた荷物を机の上に置くと、息を吐いて口を開く。
「一体お姉ちゃんは何を考えてるの…!?町はこの話で持ちきりよ!皆目を光らせて、この人たちを探してるわ!」
見つかったらどうするの!?私、知らないんだから!
…そう言い残して家の奥へと去ってしまう妹。
「おい、アーニャ!」
…何か、気まずい展開だな、オイ。
ジィンは再び大きな溜め息を吐いた。
そして何度か頭を掻き毟ると、口を開く。
「さっきのはアーニャ、あたしの妹。凄い神経質なんだよ…ま、気にすんな。」
…気にしなくて良いんですか。
いや、駄目だろ。
「迷惑なら俺達は出て行く。助けてもらったのに、アンタ達を危険に晒すのは不本意だからな。」
そう言って立ち上がる俺だが、「いや、待て待て。」とジィンに静止され、もう一度椅子に座る。
「アーニャは大袈裟に言ってるだけだ、その内皆諦める。でも、今出るのはマズイ。流石のあんた等も今度ばかりは干物にされちまうかも。」
「干物!?オレ、干物!?…嫌、嫌よ!アタシ干物なんかになりたくないわー!」