花嫁と咎人

「きゃっ、」


そう声を上げたのは、確かジィンの妹のアーニャで。
彼女はごめんなさいと言うと早足で立ち去ってしまう。

…なんか、俺が悪者みたいじゃねぇかよ。

頭をかきながら暫く立ち尽くすこと数分。
今度は上の階段からジィンとフランが降りてきて。


「―…あ、」


俺を見て声を上げるジィンと、何故か俺を見るなり彼女の後ろに隠れるフラン。

……そんなに俺が嫌いかよ。
でも、何故かフランが気になって。


「待てよ。」


通り過ぎようとするフランの手を握ると、強引に引っ張った。
刹那、ジィンはニヤッと笑って何処かへ立ち去ってしまう。


「あっ、まっ、ジィン!」


どうやら置いていかれたらしい。
フランは下を向いたまま、もじもじと床ばかりをみていた。


「なあ、何か俺、アンタに気に食わないことでもしたかよ。」


勿論そんなのお構いなしに単刀直入にズバリ。
だが、フランはぶんぶんと首を横にふり、


「違う、違うわ…!」


と言うばかりで。


「んじゃ何だよ、何で目も合わさない。何で口も利かない。答えろよ。」


ならばそう言う話だ。
理由は一体何なんだ。

すると、フランは急に顔を上げて、


「き…今日の夜、全部話すわ…。だから、だから…っそれまでは放っておいて頂戴…。」


俺の目をしっかりと見てきた。


「……は?」

< 154 / 530 >

この作品をシェア

pagetop