花嫁と咎人
「きゃっ、」
そう声を上げたのは、確かジィンの妹のアーニャで。
彼女はごめんなさいと言うと早足で立ち去ってしまう。
…なんか、俺が悪者みたいじゃねぇかよ。
頭をかきながら暫く立ち尽くすこと数分。
今度は上の階段からジィンとフランが降りてきて。
「―…あ、」
俺を見て声を上げるジィンと、何故か俺を見るなり彼女の後ろに隠れるフラン。
……そんなに俺が嫌いかよ。
でも、何故かフランが気になって。
「待てよ。」
通り過ぎようとするフランの手を握ると、強引に引っ張った。
刹那、ジィンはニヤッと笑って何処かへ立ち去ってしまう。
「あっ、まっ、ジィン!」
どうやら置いていかれたらしい。
フランは下を向いたまま、もじもじと床ばかりをみていた。
「なあ、何か俺、アンタに気に食わないことでもしたかよ。」
勿論そんなのお構いなしに単刀直入にズバリ。
だが、フランはぶんぶんと首を横にふり、
「違う、違うわ…!」
と言うばかりで。
「んじゃ何だよ、何で目も合わさない。何で口も利かない。答えろよ。」
ならばそう言う話だ。
理由は一体何なんだ。
すると、フランは急に顔を上げて、
「き…今日の夜、全部話すわ…。だから、だから…っそれまでは放っておいて頂戴…。」
俺の目をしっかりと見てきた。
「……は?」