花嫁と咎人
それは誘拐された女王を捜すべく…国が発布した物。
「これだけの賞金。…これだけあれば…!」
きっとお母さんとお父さんは帰って来るに違いない。
皆また仲良く暮らすことが出来る。
恐らくこれを持っていた方が誘拐したっていう死刑囚ね。
そんなに悪そうな人には見えなかったけれど…この際どうでもいいわ。
どれだけ体が慣れていても、限界はあるはず。
「…家族の為よ…。」
アーニャは小瓶を手に取り、夕食の準備をするべく台所へと向かう。
…絶対に間違えないようにしなきゃ。
ぎゅっと小瓶を持つ手に力が入る。
「大丈夫、大丈夫…。」
正義感の強いお姉ちゃんじゃない私だもの。
…やれるわ。
そして、カウントダウンは始まった。