花嫁と咎人
◇ ◆ ◇
時間は無情にも早く過ぎ、時は夕食。
アーニャが作ってくれた料理が、早々と机の上に綺麗に並べてあった。
…間違いなくジィンの料理よりは美味しそうで。
申し訳ないけれど、見た目も味も、絶対こっちの方がいい。
私は、お昼の時の悲劇を思い出しながら席に着いた。
そして全員が席に着いた時、アーニャが魚を一匹づつそれぞれの席の前に持っていく。
「おお、今日は豪華だな!」
声を上げるジィン。
「とても美味しそうだわ。」
微笑む私。
「うっまそー!アーニャちゃん、オレと結婚し」
「この変態男。」
抱きつこうとするオズと、殴るハイネ。
「頑張って作りました。」
へへっと笑うアーニャちゃんはとても可愛い。
昼間は怒っていたみたいだけど…もう大丈夫なのかしら?
そしてアーニャが席に着いたと同時に、食べ始める私達。
魚はやわらかくて、とても美味しい。
他の料理も一流料理人顔負けだわ。
たが、その美味しさとは裏腹に、目の前に座るハイネの手が急に止まった。
眉間にしわを寄せ、目の前に置かれた魚をじっと見つめる彼。
…どうしたのかしら。
だが、そんな彼を見てオズが「んだよハイネ、食べないの?じゃあオレが、」と隣の席から手を伸ばした時、
「勝手に人の取るんじゃねぇよ、ちょっと喉につかえただけだ、馬鹿。」
と勢い良く拒否したのを見て、大丈夫そうねと安心する私。