花嫁と咎人
アーニャちゃん…本当にハイネの事…。
無性に悲しくなってしまう。
下唇をかみ締めて、動けない私。
「気にするなよ、アーニャは何とも思ってない。」
すると、そんな私の心情を察してくれたのか…ジィンが私の背中を叩いてくれた。
「…そう、ね。」
彼女に勇気付けて貰ったお陰で少し安心したが、やはり視線は二人に釘付け。
不安と迷いが…心の中を渦巻いた。
「…好きなんだろ、あいつの事。じゃあ、ちゃんと言わなきゃ。」
だが、さらに小声で念を押される。
ジィンの優しさが、心にしみた。
そうね、こんな所で挫けちゃ駄目だわ。
しっかりするのよ私。
そんなこんなで食器を洗い終わり、…私はジィンの部屋へ。
バクバクと音を立てる心臓を押さえつけながら、目を閉じる。
ハイネとアーニャがまだ残っているようだったが…。
ジィンに何度も励ましてもらい、決行を決意した。
「あと少し経ったら行けよ。待ってるから。」
ジィンの笑顔に頷いて答える。
ああ、緊張するわ。
不安と期待に揺れる世界で、私は小さく息を吐いた。