花嫁と咎人
迷路の終わり
…気がつけば、洞窟の中に立っていた。
泣きながらずっと走っていたせいか、どうやってここまで来たのかが全く分からない。
でも、ここはジィンが教えてくれた“審判の洞窟”で間違いないようだ。
足元に開く沢山の大きな穴、湿って寒い空気。
水が滴る音に慄きながらも、どうしようもなく私は足を進めた。
すでに入り口は見えなくなっていて…今更引き返す事もできない。
寧ろもう、道が分からない。
キョロキョロしながら歩いていたせいか…
「…っあ!」
しまいには滑って足をひねってしまった。
「……うう。」
酷く、悲しい気持ちになる。
何度も思い返されるあの光景。
…どうして、アーニャとハイネが…?
零れる涙が止まらない。
前は好きが溢れて心が痛かった。
でも、今は悲しくて心が痛い。張り裂けそう。
どうして…どうしてこんな事に。
考えれば考えるほど、涙は止まらなくなり、その場から動く事も出来なくなった私は…両膝を抱えて、ただ泣くばかり。
すると…どこからともなく鳥のさえずりが聞こえてきて。
何かが私の肩に止まった。
「…あ…。」
その何かは、以前大道芸人の人から貰った小鳥で。
民宿に泊まっている時に何処かへ行ってしまったものだからてっきり…
「仲間の元へと帰って行ったのかと思ったわ…。」