花嫁と咎人
小鳥は私の頬に体をすり寄せ、何度か私の周りを飛び、少し先へ飛んでいく。
どうやら付いて来てと言っているみたい。
私は痛む足を引きずるように立ち上がると、小鳥の後をゆっくりと追った。
「ごめんなさい、少し足をひねってしまったから…早く歩けないの。…おまえの様に羽があったら良いのだけど…」
そうしたら、何処か遠く…遠くまで飛んで行けるのに。
皮肉なこの二本の足。
人間でなければ…こんなに苦しむ事も…悲しむ事も無かったのかしら。
そして暫くした時、小鳥は急に飛ぶのを止め…私の肩に止まってきた。
どうやらここに連れてきたかったみたい。
でも…ここには木の根っこが沢山あるだけで…何も…無い。
「…どうすればいいの…?」
すると小鳥はするりとその木の根っこの間を潜り抜けていってしまって。
「え?…ここをくぐるのかしら…」
恐る恐るきの根っこを掴むと、それはとても柔らかく…ぐにゃりと形を変えると、私を中へと誘った。
中には私一人がやっと立てる高さの通路があり、その先へ進むと…
「嗚呼、なんて綺麗なの…!」
目に広がったのはとても不思議な光景。
少し広く、丸い形をしたその空間の壁は…一面黄色い花で埋め尽くされていて。
その一つ一つの花が、黄色い光を放っている。
床には綿のような物が一杯に敷き詰めてあって…まるで柔らかいベッドのよう。
飛び回る小鳥を手に乗せ、優しく包むと頬に寄せる。
「おまえはなんていい子なのかしら…!最高の贈り物だわ、ありがとう。」
チチチと小鳥も嬉しそうに鳴いた。
こんなに素敵なプレゼントを貰ったのだから、私も何かお礼をしなければいけないわ。
そして考えることしばし。