花嫁と咎人
「そうね、じゃあこれをあげる。」
首を傾げる小鳥、微笑む私。
私は服に着いていた薄緑色のリボンを取り、それを小鳥の首につけてやった。
「とても似合っているわ、素敵よ。」
嬉しそうに小鳥は舞い踊り、しきりに私の頬に体をすり寄せてくる。
「これで、いつ王子様が迎えに来ても大丈夫ね。」
小鳥の頭を撫でながらそう告げたものの、やはり小さく息が漏れた。
…私を迎えに来てくれる王子様なんてどこにもいない。
私はまたひとりぼっちよ。
きっと、これからもずっと…。
悲しくて、辛くて瞳を閉じた。
涙がひとしずく、静かに零れて消えた。
◇ ◆ ◇
…何かが顔に触れたような気がして、俺は目を開けた。
「……、」
起きるとまだ空は暗く…ほのかに東の空が明るいだけ。
どうやらあの後、また俺は気を失ってしまったらしい。
額に乗る濡れタオルと、どうやら看病してくれていたであろうオズとジィンが、お互いの顔を蹴り合いながら寝ていた。
こいつらは一体何なんだ。
そんな事を思いながら、未だにだるい体を起こし…痛む頭を抑える。
また気を失いそうだが…まあ、何とかなるだろ。
そう思い立ち上がろうとしたその時。
何かが俺の視界の中に飛び込んできた。
「…?なんだおまえ。」
それは青い小鳥。
何度か俺に向かってさえずると…俺の周りを数週し、家の外へと飛んでいく。
…んだよ、着いてこいって言ってるのか?
渋々だったが、とりあえず必要最低限の荷物を持ち…静かに家の外へと出た。