花嫁と咎人

すると青い小鳥は俺を待っていたかのように…再び数メートル先へと飛んでいく。


「……俺についてこいだなんて…なんて図々しい鳥だ。」


ケッと嫌味を言いながらも後に着いていくと…仕舞いに洞窟の入り口まで着てしまった。


「おいおい、ここ“審判の洞窟”じゃねぇかよ。」


巨大な入り口を見上げ、ひーっと溜め息を吐く。

…一体この鳥は何がしたいんだ。
俺は早くフランを探さなきゃいけないのに…。

と、思ったその時だった。

青い小鳥は何かを口にくわえ…こちらにやってきて。

重そうにして運んでくるそれは、


「…おい、これ…フランの靴か…?」


紛れも無く彼女のもの。

途端に心臓が高鳴り始めた。


「…おまえ、まさか…」


思わず青い小鳥に問いかける様に口を開くと、小鳥はチチチとさえずりながら洞窟の中へ。

湿った洞窟内は冷えていて…水が滴る音がとても不気味だ。


…そんな中、歩くたびに昨日の光景が思い返される。

あの、フランの泣き顔。

思い出す度…胸が痛んだ。

二度と泣き顔は見たくなかったのに、泣かせてしまった。
そう思うといてもたってもいられなくなる。

同時に段々分かってきたような気がした。

昨日の夜、彼女が言おうとした事。
鈍感な自分が気づかなかった事…。

彼女と数日話すことが出来なかっただけで、どうしてこんなにもやもやするのか。
そこまでして何故フランを守りたいと思うのか。

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