花嫁と咎人

自分は今まで貴族の下に身を置いていた。
そのせいか…このような子ども達の話を聞くのは初めてで。

聞けば聞く程心が痛くなる。


話すのが辛くは無いのだろうか。


でも、どうしてかコレットはまるで過去の事だと言わんばかりに其れを話してきた。



「女神様はな、とてもとても綺麗な人でな。」


でも、何でか髪の毛を全部布みたいなので隠してた。

そんな女神様はな…裏路地にいたおら達を見ると、美味しいお菓子をくれたんだ。
そんでおらが今までの事を全部話したら、女神様泣いてくれて。

おらも一緒になって泣いてただ。

それから、その女神様と一緒に馬車に乗って…ここまで来た。

この家は女神様の家だったけど「今日からここはあなた達の家よ」って、一緒に住まわせてくれてな。

…で、いつしかおらが自分の赤髪の事を言ったら「あら、私も変な色なのよ。」って女神様…自分の髪を見せてくれて…。


「その女神様…綺麗な銀色の髪をしてたんだ。とても綺麗で、長くて…。透き通るような青い目は今でも忘れられねぇっぺ。」


4個目のおにぎりをたいらげた時、コレットは立ち上がる。


「女神様…おら達に沢山の事を教えてくれただよ。読み書き、計算、生きるための知識…雑学…。ま、この訛りは直せなかったけんどな。」


そして今度はテクテクと何処かへ歩き出した。
そんな彼女の後ろを彼もついていく。

すると暫くして見えてきたのは小さな古い教会。

中は質素で、とても綺麗とは言えない内装だが…


「これは、」


祭壇の中央に黒い羽の生えた女神像が置いてあって。
それを見た瞬間、ここは破壊派の女神信仰だと確信する。


「女神様…いつもここで歌を歌いながらお祈りしてただ。なんでも、遠くに大切な人を残してきたって。ずっと泣いてる時もあった。」


そんな、コレットは教会の裏口を通って今度は小さな裏庭へとエルバートを連れ出した。



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