花嫁と咎人

  ◇ ◆ ◇


夢から覚め…目を開けた時。
なんとも複雑な心境になった。


…これが。


小さく息を吐く。

そして窓から…綺麗に見える月を眺めた。



「借りを…返してくれたんですね。」


そう、今自分がこうして生きていること。

かつて…自分がラザレスからオーウェンを救った事。

生と死。

死ぬはずだった互いの命。


「しかと受け取りました。」


そう言うエルバートの手には小さな紙が。
それはこの家に届いていた物。


「…姫様、」


死刑囚にさらわれた大切な主。



「私が…貴女をお救い致します。」



騎士は紫の瞳で夜空を仰いだ。


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