花嫁と咎人
捜し求めた光
◇ ◆ ◇
その夜、ハイネはとても酷い高熱を出した。
多分、まだ毒が体の中に残っていて追い出そうと体が頑張ってるからだとオズは言うけど…
「…ずっと唸ってるわ。悪い夢でも見ているのかしら。」
苦痛に歪むその表情を見ていると、とても心配になる。
オズは疲れていたのか早めに寝てしまった。
私も寝ようかと思ったけれど…ハイネの事が気になって一向に眠れなくて。
今は付きっきりで看病を続けている。
でも大分熱は下がってきてるみたい。
額に当てた手を、ハイネの額へ。
それほど大差は感じられなかった。
するとその時。
突然、ハイネが目を開けた。
と同時に勢いよく体を起こして。
やはり悪い夢でも見ていたのだろう。
息遣いは荒く、視線が定まっていない。
「…だ、大丈夫?あなたずっとうなされてたのよ、何か悪い夢でも」
だが、まだ言い終わらない内に…私は突然彼に抱きしめられた。
ぎゅっと力強く…、ハイネの心臓の音が聞こえるくらい。
「ハイ、ネ…?」
問いかけても…彼は何も言ってくれなくて。
やっぱり、悪い夢を見たのだわ。
そう勝手に信じ込み…私はハイネの背中に腕を回した。
そして、ゆっくりと叩いてあげる。
「…落ち着いてハイネ、大丈夫。私がずっと付いているわ。」
すると、段々とハイネの心臓の音がゆっくりになって行って…次第に私を抱きしめる力も弱まっていった。
「…昔の、夢を見た。」
それから暫くして落ち着いた彼は、木にもたれかかり…水を飲む。