花嫁と咎人
暫くして。
「さっきの笑顔がまるで嘘のようだわ。」
「ああ、元の仏頂面に戻ったな。」
「…そこ、聞こえてるぞ。」
『…すみません。』
―と、それはさておき。
「それで、お前さん達…どっから来たんだ?」
ジャックは俺達にコーヒーを振舞いながら問いかけた。
「え…っと、2番街。」
それに対して適当に答える俺。
すると「んだよ、金持ちじゃねぇか。」とジャックは俺の頭を叩いてきた。
…痛てぇ。
瞬間、フランとオズのひそひそ話が始まる。
「…ハイネが頭を叩かれたわ…!」
「ああ、オレも初めて見たよ…!」
…だから、聞こえてるっつーの!
「ん、ああでも2番街なら…あの“デスタウン”があっただろ。」
…デスタウン?
「緋色の死神で、全員死んだ町だよ。なんでも緋色の死神はそこから広まったって言うは話だ。あと“悪魔の子”がいた事でも有名だな。」
首を傾げる俺に、フランがあっと声を上げる。
「…ほら、タリアの家の地下通路を出た所にあった、あの町の事じゃないかしら。」
あ、ああ。あそこか…。
最後の感染者らしき人がいた、あの…。