花嫁と咎人

…そういえば確かにそうだった。
初めから嬢ちゃんって言われてたわ…。

嗚呼、私の男装ってこんなにもバレやすいのね…。


「とりあえず…フランは女のままで、妙な否定はしなかった。後々理由とか聞かれると厄介だからな。」


とりあえず早く服を着ろと言って部屋を出ようとするハイネ。

だが、


「なんだ、フランちゃんてっきりハイネと昨日の夜ヤ、」


その瞬間彼はオズの頭を蹴り飛ばした。


「ってねぇよ…!」


若干怒り気味にハイネはそう言うと、ズカズカと歩いて奥の部屋へ行ってしまう。

と同時に安心する私。
ハイネがアレだけ否定するって事は、本当に違うのね…。

でも、昨日の記憶が曖昧なせいか…まだ不安は残って。


「…とかいってさぁ?」


懲りないオズは私をまじまじと見るが、次第に「ちぇっ本当に無いじゃん」とつまらなさそうに部屋を出て行く。


「昨日はあんなに積極的だったのにー。」


と言う意味深な言葉だけを残して。

途端私は首を傾げた。


“昨日はあんなに積極的だったのに”?

積極的…って、

何が!?
一体何が…!?

ジャックさんにお酒勧められて、断って、でも薦められて断りきれなく一口…

二口…三口…、


「…それから何も覚えていないわ…!」



< 233 / 530 >

この作品をシェア

pagetop