花嫁と咎人

思った瞬間一気に熱を増す顔。

痛い頭を押さえながらとりあえず軽くシャワーを浴びて、服を着る。


それから足早にオズの所へ行くと、ドアの隙間から顔を覗かせた。


「…ねぇ…オズ、ちょっといいかしら…。」


突然聞こえた声と隙間から覗く私の顔に驚いたのか「うひゃあ!」と言って驚く彼。


「え?ちょっと、何!フランちゃんからまさかのナンパ!?」


続けて彼は嬉しそうにそう言うけれど、勿論違う。
首を横に振りながら、私はオズの部屋の中に入って…彼の手を掴んだ。


「…昨日はあんなに積極的だったのに、ってどう言う事かしら…!」


きっとその時の私の顔は凄い剣幕だったに違いない。

私を見るオズの顔が、見る見る引きつっていくのが分かる。


「はっ、え、いや、その…!」


「…答えて頂戴。」


じりじりと、詰め寄り近づく距離。
唾を飲み込んで…オズは口を開いた。


「…そんな、そんな大した事じゃないけど、」


「じゃないけど?」


「フランちゃんが酔っ払ってハイネにキスしたんだよ。」


そう言って、ひひっと笑うオズ。


“酔っ払ってハイネにキスしたんだよ”


……ボンッ!
刹那頭のてっぺんから火山が噴火したような感覚に襲われた。

私が…私が、ハイネに…キス!?


は…っ、私ったら…なんて事を…。



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