花嫁と咎人
「――…!」
急停止する剣。
驚いた顔で、私を見るエルバート。
「…止めなさい、エルバート。」
「っ、ですが、」
「これは、女王命令です。」
「……。」
私がそう言うと、彼は大層不服そうな顔をしたが…
「…承知。」
ゆっくり剣を降ろす。
「…ハイネもよ。」
振り返り、ハイネにもそう言った。
そしてハイネが舌打ちをしながら腰にサーベルを収めた時、私は息を吐いて…再びエルバートに視線を移す。
「彼はハイネ。表上は死刑囚だけど…本当は悪い人じゃない。…それに、彼は地下牢にいた私を救ってくれた恩人よ。」
だが、エルバートはハイネを睨んだまま動かなくて。
「…ほらよ、言っただろ。堅物はわかんねぇんだって。」
ケッと嫌味を言うハイネを肘で突きながら、
「お願いエルバート。信じて頂戴。」
私は言う。
…無言のエルバート。
何故か不穏になる空気。
困ったわ…。
これ以上はどうしようも…。