花嫁と咎人

「…悔しくないわけ無いだろ。」


人の女を連れ歩いているのだから。


「…でも。」


「…?」


でも。


「フランがあの騎士と過ごした何年間には、勝てない。」


例え俺が恋人だったとしても…徹底的に違うものが、そこにはあった。


「…愛の種類が違うから。」


「………。」


そうだ、その違い。
そしてそれは、簡単に越えられるほど低い壁ではない。

…すると、オズが目を輝かせながら俺の目の前にひょこんと現れて。


「じゃあ俺の愛はどの種類?」


なんて、馬鹿げた事を聞いてくる。


「アンタのは愛じゃない。」


そんなオズの顔を押し潰し、俺は歩み去った。

途端に後ろから「じゃあ何だよ!」と叫ぶオズ。
立ち止まり、振り返りながら俺は中指を立てると…


「アンタのは只の欲求だ、変態。」


そう言い放った。


「…ッだー!変態なのはお前の方だろ!このムッツリスケベ!」


「あーおかしいな、耳が聞こえねー。」


「むっぎゃあ!しらばっくれるな!ケチ、変態、ロン毛、外道!この参考書詐欺がー!」


…参考書詐欺?
ああ、一体それがどうした。
堂々と女に手を出すよりは、マシ。

だろ?



「じゃあな、アバズレ男」




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