花嫁と咎人

「どうして、か。」


ハイネの口が、開く。
きっと、彼なりの優しさなのだろう。

二人を見ると僅かに残った気力を口端に寄せて…微笑を浮かべる。
でもその表情は、余りにも切なすぎて。

見ていられなかった。


「…アンタ達の言う女神様は、」


静かに…紡がれる答え。

彼の旅の終わり。
その終点ですら彼を苦しめるものとなってしまった。

ハイネが捜し求めてきた人。
大切な人。


それは、




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