花嫁と咎人

  ◇ ◆ ◇


「……、ここに変わった旅人は来ませんでしたか。」


そう言ってオーウェンは中年の男に問いかけた。


「変わった旅人…?」


目の前にはこの町の保安官であるジャック・カーンの姿。
そして隣には妻、リサが立っていて。


「まぁ、来たといえばきたがな、それが?」


「是非、詳しくお聞きしたいのですが。」


オーウェンは眼光を尖らせた。


…彼等は毒蛇の森を抜け、ここ“ブランタン”にようやく辿りついた。

死者30名。
大きな痛手だったが、仕方が無い。

犠牲は覚悟の上だった。


突然の王国騎士団の来訪に、住民も驚いているようだ。
窓から何度も見たり、外に出てきたりする者が多く見られる。


すると、ジャックは口を開く。


「詳しくって言われても…。まあ、最近来たのは男二人と女一人の若い旅人だった。」


「…それで?」


「なんでも2番街に丁稚奉公しに行ってて、今5番街の実家に向かってる所だとか何とか。」


…丁稚奉公?
5番街の実家…と言うことは、海を渡る気でいるのだろうか。


「他に、変わった特徴は?」



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