花嫁と咎人

すると教会の中では、ハイネの合意の元…事情を知った3人が長椅子に座って待っていた。


「……母さんで、間違いなかったべか。」


ハイネに問いかけるコレット。
対してハイネは頷き、


「…そうか。」


コレットはうな垂れる。

そしてその時…彼女は突然、彼の腕を掴んで何かを手渡した。

ハイネの手の中に置かれた一枚の封筒。


「女神様が言ってた。もし、自分と良く似た男の子が来たら…これを渡して欲しいって。」


コレットの視線、ハイネの視線。


「おら、その人は…あんただと思うから。」


そしてゆっくりとハイネから離れると、駆け足で教会を去ってしまう。


「あ、ま、待ってください…!」


彼女を追いかけるレネとエルバート。
オズも、ハイネを見つめると…無言で外へ出てしまって。


残されたのは、私とハイネの二人きり。


…ハイネは暫くその封筒を見つめていた。
茶色の少し汚れたその封筒。

彼は息を吐いて封を切ると…中身を取り出した。


そしてそこに入っていたのは、2枚の手紙。

ハイネはそれを私に差し出して、


「…読んで、くれないか。」


とても悲しそうな目で、私を見つめた。


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