花嫁と咎人


嗚呼。
女神様。

今だけは…
どうか今だけは。

彼の弱さをお許しください。


…ハイネを抱きしめたまま、私は祈った。


涙が枯れて、切なる想いが届くまで。

どうか…。


そしてゆっくりと口を開くと、昔から母がよく歌っていてくれた歌を歌う。


「―…ラ、ラーラー…ラ、」


涙を拭う事もせず、只、切なく、優しすぎる旋律を奏でて。


「ララ…ラー、ラー…」


教会に響く歌声。
死した者達への鎮魂歌。


…その時、ハイネが私の手をぎゅっと握り締めてきた。


「……ハイネ?」


そう言って彼を覗き込むけれど…


「、止めないで。」


俯いたまま小さく言うハイネ。


「…分かった。」


そして、私は再び歌を歌った。



「ラー、ラララー…ラー」



………。
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