花嫁と咎人
運命の分岐点
…それから暫くして、落ち着いたハイネと共に教会を出た。
すると、
「――…オズ?」
教会の外壁に持たれかかる様にして立っているオズの姿があって。
彼は私達に目を向けると、
「もう、大丈夫?」
苦笑いをしてこちらを向く。
どうやら今までの時間、ずっと外で待っていたようだ。
冷たい風が吹き付けているのに…
寒そうな顔一つしないで。
「…オズヴァルド。」
すると、ハイネが彼の前に歩み出て…小さく口を開く。
「―…分かってる。」
そしてそんなハイネの表情を見て、頷くオズ。
どうやらハイネは、彼に遺品を祖国へ届けるように頼んだらしい。
オズはポケットから先程ハイネから受け取ったアルベルタさんの遺品を取り出し、丁寧に布で包んで。
ハイネは一枚の丸められた羊皮紙を取り出した。
そしてそれを開くと、親指の先端を噛み切って、
血をインク代わりに指を押す。
どうやら元々そこには文章が書いてあったようだ。
それを見て、オズも同じように血判を押すと…
再び羊皮紙を丸めて紐できつく縛った。
「……後は、頼んだ。」
そしてハイネはオズの肩を掴み、羊皮紙を渡す。