花嫁と咎人
「まぁでも、残りの皆さんで美味しく頂きましょう。…ね?」
するとひょこんと巨大な鍋の影から顔を出すエルバートと
「だべさ!」
弟、レネの姿が現れて。
…そんな彼の頭には、ハイネが被っていたウイッグの姿も…。
「あ!てめ、それ…!」
それを見た瞬間、ハイネが叫び奪い返そうと手を伸ばした。
「うわぁあ!」
勿論反射的にハイネの手から逃げるレネ。
「か、返せよ…!」
追いかけては、追いかけられて。
鍋の周りを駆け回っては、ぴょんぴょん宙を飛ぶハイネのウィッグ。
「もう、危ないから止めて下さい!」
その時、止めようとエルバートが出した手が、ウィッグを持つレネの手に当たって。
「あ。」
高く舞い上がったウィッグは見事に、
―…ふわさっ。
「―……う、そ。」
シチューが入った鍋の中へ…
ダイブした。