花嫁と咎人
Chapter.6
駆け抜ける焔
森を駆ける一頭の馬。
物凄いスピードで、馬は駆けて行く。
必死に馬を走らせているのは銀色の髪の青年。
そして、その腕に抱かれたのは…血まみれの少女ー…。
――…
――――…
時は遡り、数時間前。
「…、起きて下さい姫様…!」
エルバートの声によって目覚めた私達は、目を擦りながらゆっくりと起き上がった。
「…んだよ、」
そう言いながら大きな欠伸をするハイネ。
「大変です…!」
だがエルバートの只ならぬ表情に…彼はすぐさま立ち上がると、窓に歩み寄って。
「――…っ、嘘だろ…!」
私を抱き起こし、剣を構えた。
姉弟もいつの間にか起きていて、私達の元へとやってくる。
遠くから聞こえる何かの足音。
響く声。
私が窓を覗くとそこに見えたのは…
「……!」
真っ赤に燃え盛る草原と、それを背景にして大群で押し寄せてくる王国騎士団の姿だった。
いつの間に追いつかれたのだろう。
どうしてこの場所が分かったのだろう…!
考える間も無く彼らは徐々に近づいてきて、家を囲い始める。