花嫁と咎人

「考えろエルバート。僕が、どういう人間なのか…お前は、知っているだろう?」


途端に悲しそうな表情をするオーウェン。
その時、奥の部屋からコレットのものらしき悲鳴が響いた。

振り返るエルバートとハイネ。


「……!?」


そしてハイネが周りの王国騎士団を蹴散らし、部屋へと向かった。


「………」


お互いを睨んだままエルバートは部屋の前へと移動し、あたりに埋め尽くす王国騎士団を見回して言う。


「…ならば、懸命に足止めをするとしましょう。」


開かれた、片目だけの紫眼。
激しい動きを繰り返したせいか…傷が開いて包帯を赤く染めた。

けれど、そんな物…痛くもなんともなくて。


「真意を知るまで…私は、」


見据えた先のオーウェンの姿。
彼が口元を歪めた時、彼は強かに告げた。


「どんな悪をも許さない…!」


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