花嫁と咎人
「抜かなくていいっぺか…?」
そういいながら泣きべそをかくコレット。
「抜いたら余計血が止まらなくなるだろうが…!おいアンタ、ここから5番街まではどのくらいかかる…?」
そんな彼女に問いかけながら、俺はフランを抱え地下通路を歩く。
「5番街までは馬で行けば多分明日の昼までには着くと思う…」
…明日の、昼…。
「でも、5番街は賊が縄張りを構えて争っでんだ。街も殆ど機能してねぇみだいだし…もし兄ちゃんが行ったら…どうなるかはわかんねぇべ…。」
コレットはそう付け足してはがくりとうな垂れる。
暫くの沈黙。
…だとしても、もう4番街に行く当てなどない。
東に行っても大きな崖があるだけで、人が住んでいる様子さえないのだ。
もう、行くしかない。
こんな事をしている内にも、フランが死んでしまうかもしれない。
…そんな事、あってはならない。
絶対に、死なせたりするものか。
すると暫くして地上に続く階段があって。
俺は階段を駆け上がると、扉を開けた。
途端に独特の臭いが広がり、一頭の茶色い馬が目に入る。
一応馬には何度も乗った事がある。
俺は素早く乗馬すると、姉弟に早く乗るよう促した。
だけども、
「おら達は、行けない。」
二人は首を振る。