花嫁と咎人
「…ご無沙汰しております、ラザレス様。」
彼は自分を見て…そう言ってきたのだ。
…信じられない。
あの時殺したはずなのに…!
「エルバート…ローゼンハイン…、」
何故だ、何故だ…!?
「お前は死んだはずだろう…!」
するとエルバートはにこりと笑って、
「…地獄の底より舞い戻ってきました。」
などと言う。
訳が分からない!
一体どうなっている!?
誰が、誰が…こいつを…!
刹那浮かび上がる名前。
「…まさか…オーウェンか…!」
しかし、
「いいえ。」
エルバートは即答で否定して。
再度口を開く。
「私はただ、借りを返して頂いただけでございます。」
「…借り?」
「ええ、地獄にいらっしゃる大魔王様から。」
ふふっと笑うその顔が、無性に自分をイライラさせた。
自然と拳に力が入って…眉間に寄るシワ。
ラザレスはイライラを隠せないままエルバートに歩み寄ると、思いっきりその顔を殴った。
音を立てて床に伏す彼。
そんなエルバートを見下ろしながら、ラザレスは言う。