花嫁と咎人
「女王と死刑囚が見つかったら、お前も一緒に断頭台にかけてやる…!」
だが、エルバートはそのままの体勢で笑い声を上げた。
「どうぞお好きに。どうせ、一度は失った命ですから。…でも、」
彼は続ける。
「…姫様の命を好きなようにはさせない。」
「………」
「いずれ貴方も…地獄を見る事になるでしょう。」
紫色の瞳、視線。
ラザレスは騎士団に牢へ連れて行くよう命じると、近くの置物を思い切り蹴飛ばした。
「クソ…!」
何かがおかしい。
何かが狂い始めている。
ラザレスは頭を抱えた。
だが、今更どうする事もできない。
いや寧ろ、上手く行けば王座はすぐそこにあるのだ。
…引くものか。
断じて引くものか。
この国にふさわしいのは…
「この、私だ…!」