花嫁と咎人
◇ ◆ ◇
…牢に連れて行かれるなり、
「王子様ー!」
そう言って抱きついてくるコレットとレネ。
あの時一緒に逃げれば良かったものを、わざわざ引き返してきたせいで自分と一緒に捕まってしまった二人。
優しいのか意地っ張りなのか…。
分からないがどうやらなつかれてしまったようで。
「っと、あんまり抱きつかないで下さい。傷、まだ治ってないんですから。」
そういいながら、痛む体をいたわる様にゆっくりと冷たい石畳の上に座れば、その膝の上にちょこんと座ってくるレネ。
「あーレネだけずるいんだベー!」
すると今度は自分もと言わんばかりにコレットも座ってきた。
「い、痛いですから、ね!」
…一体、この子達はこの状況を分かっているのだろうか。
なんてため息を吐いたその時。
「…随分傷だらけで生き返ってきたねぇ…。」
背後から聞き覚えのある声がして。
振り返ると…
「久しいね、エルバート。」
煙管を持った、女性の姿があって。
「―――…、タリアさん…!」
思わずその名前を呼ぶ。
すると彼女はよっこらせと言いながら自分の隣に座ると、煙を吐き出した。
「…うげーおばさん臭いベー。」