花嫁と咎人
「…恥ずかしながらそうみたいです。」
彼はただただ笑う事しか出来なくて。
「でも、ハインツ君がいなければ…私は会う事すらおろか…姫様は亡くなられていたかも知れませんし。」
だが完全に否定する事もできず。
「そう思うと、彼には感謝しきれません。」
最終的にはハインツという存在を、肯定する他なかった。
「老けたねぇ、エルバート。」
タリアにそう言われて…「ですね」とエルバートは頭を掻いた。
そして再び彼女に目を向けると一言。
「そういえばタリアさん、少し痩せましたか?」
彼の言葉を聞いて、タリアはああ…と自分の頬を触ると
「精神的に色々あってね。」
そのせいだよと神妙な面持ちで言った。
「別に…そんなんでへこたれる私じゃないけれど…、オーウェンとか言う黒髪のガキが女王の居場所を教えろとか言ってきてさ。」
小さくため息を吐いて。
「知らないって言い続けたんだ。」
タリアはやれやれといった感じに笑う。
「そしたらそいつ、私の目の前で関係のない憲兵を何人も殺しちまってねぇ…」
「………。」
「皆胴体バラバラ。…凄まじいだろ?」
だなんて言ってはタリアは煙を吸った。