花嫁と咎人

まず、一つ。


「彼は“彼”を知っていた。それ故に彼は“彼”を連れてきた。」


二つ。


「そして彼ははなから“彼”を“彼女”と引き合わせるつもりでいた。」


三つ。


「“彼”は病を止めるたった一つの手段である。それは“女神”が証明した。」


四つ。


「彼は騎士をはなから殺すつもりなど無かった。」


五つ。


「彼は全てを終わらせる為のシナリオを今も続行中である。」


六つ。


「“彼”は“彼女”以上に破壊の力を持っている。」


七つ。


「善は悪にもなり、悪は善にもなる。」


そしてようやく、彼女は息を吐いた。


「…これは私の持論だけどね。正しいかも知れないし、間違っているかもしれない。」


目の回るような問いの数々。
でも、エルバートの脳は冴えていた。


「ただ、エルバート。あんたが生きていた事、それが…これを裏付ける鍵になった。」


「…私?」


「そうさエルバート。鍵はお前だった。」


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