花嫁と咎人
―――…
欲の無い心。
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―――…
『最近やけに楽しそうじゃないか。』
『…え?ああ、最近知り合った男の子がいて。アリシアっていう偽名を使って会っているのだけど…。ただ…』
『ただ?』
『―…丁度ハインツと同い年くらいだから、ちょっと重ねてしまって。』
『…それでかい。』
『でもタリア。…貴女にお願いがあるの。』
『?』
『数年後―…あるいは数ヵ月後、もしこの国にあの子が来て、貴女に会ったとしても…。』
『……。』
『決して私の事は話さないで。お願い。』
『―…いいのかい。』
『ええ。もう、決めた事があるから…。』
『…そう。なら、言わないよ。』
『ありがとう、タリア。それでね…あの病の事なのだけど――…。』
―――…