花嫁と咎人
「え?」
でも弱りきった彼女の声は小さすぎて聞こえない。
「―が、痛い…」
?痛い…?
「…、どこが痛むって…?」
もう一度問いかけると、フランの口元に耳を寄せた。
「―、く、ち…、のな…か」
…口の中だって?
俺は咄嗟に片手で口を空けさせる。
「―……!?」
すると彼女の口内は真っ赤に爛れ、口内炎のような物が無数に出来ていたのだ。
なんだ、これは…!
だが、恐ろしい事はそれだけでは終わらなくて。
なんと服をめくればそこには赤い斑点、うっすら開いた目は恐ろしいほど充血し…
「…き、もち、悪…い」
吐き気さえもよおしている。
「…な、」
明らかに感染症ではなかった。
失血とか言う問題でもなかった。
…これは病。
見た事のない病。
頭の中に浮かんだのは、残酷で最も恐ろしい…病名だった。
「嘘、だろ、」