花嫁と咎人

「この手紙を、アンダーレスリバーに届けて欲しい。…出来るかな。」


すると鷲はまるでいいよと言わんばかりに大きく羽を広げ、その手紙を足で掴んだ。


「…ありがとう、助かるよ。」


その足と手紙を糸で固定して…オズはもう一度鷲の頭を撫でて、


「Gehen」


合図をかけると大きく羽ばたいてゆく鷲。


「お前の主は、きっと…世界を変えるよ。」


そう、鷲を見送った後…今度は怯える男に目を向けるオズ。
銃を突きつけたまま…見下ろす視線はとても冷ややかで。


「あのさ、フィレンツィリアまで何日かかる?」


オズの問いに彼は


「し、知らねぇよ…!波によって変わるんだ、な、なんとも…言えねぇ…!」


怯えながらも舵を取る。

そんな彼を見下ろしたまま、オズは「ふぅん」と言うと…今度は笑顔になって言った。


「なんでもいいけど…出来るだけ早くして。そうしないと…」


「………、」


「…殺しちゃうから。」


その後、男の悲鳴が大海原に響き渡ったのは言うまでも無く。



彼は只ひたすらフィレンツィリアを目指すのだった。



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