花嫁と咎人
ああ、何てことだ。
全部、全部自分のせいだ。
左を向けば心臓に矢の刺さったロナの姿。
『…ハイネ、どうして…もっと早く…オズに伝えてくれなかったの…?』
「…ロ、ナ…」
『痛い、痛いよ…オズに、会ワセテ…!』
走っても、走っても、
逃げられない。
助けて、もう…これ以上は背負いきれない。
重い。
命が重い。
右も左も前も後ろも…、転がるのは死体ばかり。
その時。
『大丈夫よ、ハイネ。』
誰かが俺の体を包み込んだ。
顔を上げると…そこにいたのは天使のような笑みを浮かべるフランの姿。
「…!フラン…」
そんな彼女にしがみ付く様にして…俺は息を吐く。
『落ち着いて…私はここにいるわ。』
これでもう大丈夫だ。
フランさえいれば俺は―…
しかし、ぬるりと何かが手についたような気がして…手のひらを見る。
「…え…?」
―血。
手のひらに着いたのはおびただしいほどの、血。
フランを見上げれば…