花嫁と咎人
嗚呼、このまま呼吸が止まってしまえば…楽になれるのだろうか。
そんな事さえ思ってしまう。
だが、思えば思うほど…本当に息苦しくなってきて。
視界もぼやけてきた。
…あれ、本当に死ぬのかも、俺。
でも怖くも悲しくも無かった。
なんだかどうでもいいような気もしてしまって。
死んだら、どうなるのだろう。
そんな事を考えていたら、突然眼鏡をかけた男の顔が…俺の視界を埋め尽くした。
「…ちょっと!」
と同時に少しだけ首に痛みが走ったが、徐々に意識がはっきりしてきて…
俺はゆっくりと起き上がる。
「―…アンタ、誰。」
そして第一声。
すると男はハァーと大きなため息を吐くと頭をボリボリと掻きはじめた。
「もう、自殺するつもりですか貴方は…。やめてくださいよ、そう言うの…。」
白い白衣に、あちこちハネまくった薄緑色の髪。
フレームが歪んだ眼鏡はすぐにずり落ちてくる。
その姿はまさに、ブロッコリー。
「…その髪の色、染め間違え?」
だなんて聞くが、
「そっちこそ全部ブリーチかけたんですか。それともストレス?凄い白髪(しらが)ですね。」
と言い返されてしまって。
「…んだとこのブロッコリー!」
叫んで拳を作ってみたはいいものの、力が入らずへなへなと床に戻ってしまう腕。
そんな俺の姿を見て、ブロッコリーは小さく笑った。