花嫁と咎人

たまたま賊に捕まった彼は、たまたま医師だったため生かされた事。

ずっとここで暮らしていた事。

何度も脱走に失敗して死にかけた事。

俺の事情を全て知っている事。

ここは賊のアジトだと言う事。

俺達が賞金首のため、生かされた事。

そして―…


「―…お姫様の方ですが何とか一命は取り留めましたよ。」


フランの安否を聞かされた。

それを聞いて、ホッと胸を撫で下ろす俺。


「まあ処置が良かった事が幸いしたみたいです。…でもすぐに輸血しないといけない状態だったので…貴方から血を沢山頂きました。」


それから、


「でも、造血剤引っこ抜いちゃうなんて、自殺行為です。」


めーですよー。と人差し指で額を突かれ、


「キモッ!」


威嚇しながらその手を振り払う俺。


だが、一つ気になることがあった。


「…なあ、今さ輸血って言ったけど…血液型とかあるんじゃねぇの?必ずしも俺とフランが一致するとは限らねぇだろ。」


するとアキは腕を組んで口を尖らせた。


「んーまあそうなんですけど…。」


そして一言。


「貴方の場合、血液型が無いんですよ。」


「…は?」

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