花嫁と咎人
それは、紛れもなく…母、アルベルタのもので。
俺がアキに目を向けると、彼は、
「すみません、ここに連れてきた時封筒が落ちていたので…勝手に読んでしまいました。」
と苦笑いしながら謝ってきた。
…とはいえ、手紙の他にもう一枚入っていた事に気がつかなかったなんて…。
そして“緋色の死神”対処法が自分自身だとは。
本当に御伽噺のような話だ。
でも実際、俺の血を輸血した事によって、フランは助かった。
と言う事は、あの“聖水”とか言っていた薄赤色の液体は…
「母さんの血を薄めた物…?」
そう思うと、何処と無く気持ちが悪い。
知らぬが仏とはこう言う事を指すのだろうか…。
でもそのお陰で何人もの命が救われたのだ。
背に腹は変えられない…か。
「まあ、どうであれ…お姫様助かって良かったじゃないですか。」
「…ああ。」
それを聞いて少し微笑むと、アキは突然話を切り出してきた。
「で、貴方と彼女。一体どういう関係なんですか?」
「…はあ?」
思わず目を見開いてしまう俺。
「いやね、一応王国から発布された紙には、姫様を誘拐した死刑囚って事になってますけど…実際違うでしょっていう話です。」
…そう言うことか。
「確かにそれは違うけど…。別に、そう大した仲でもねぇよ。」
「嘘ばっかり。」