花嫁と咎人
すると、後ろからアキが歩いて来た。
「―…なあ、ど、うなってんだよ…。何が、起きてるのか…俺、分からな、」
そんな彼の顔を見上げると…アキは一層悲しそうに口を開く。
「目が覚めたときから、既にこの状態でした。」
「―…は?」
「…彼女は自分自身の事も分からない。」
そして。
耳を塞ぎたくなるような真実が、俺を襲った。
「失声症と、記憶障害です。」
まるで人形のように、
只、一点だけを見て…動かない彼女。
「勿論、貴方の事も―…」
オボエテイナイ。