花嫁と咎人
読み終わるなり、涙が溢れ出した。
まるで走馬灯のように思い出がこみ上げ、私は手紙を強く握り締めたまま声をあげて泣いた。
「私も、あなたを愛しているわ。」
ああ。
お父様
お母様
サミュエル
そしてエルバート。
私ももうすぐ貴方達の元へ行くことになるわ。
非力な女王で、ごめんなさい―…。
そう、自分を嘆いた時だった。
「…アンタ、一昨日からよくもずっと泣いていられるな。」
突然背後から声がした。
「突然入ってきたと思ったらずっと泣いてばかりで…。少しは黙れってんだ。」
人の気配と鎖の音…。
私は咄嗟に後ろを振り向く。
「……!?」
するとその先には銀色の髪と…青い目を持つ男が、こちらを鬱陶しそうに見ていて。
目が合った瞬間、私は鉄格子にへばり付いた。
「…んだよ、その化けモンを見るような目付き。ったく、この国の連中はどいつもこいつも嫌な奴ばっかりだ。そんなにおかしいかよ。」
舌打ちをし、ぶつぶつと悪態を付く彼を見て私は思わず首を振る。
「ち、違うわ…!少し驚いただけ、本当よ…!」
しかしそうは言ったものの、実際は心臓が口から出るくらい驚いていた。
初めて見る銀色の髪に、見たこともない装飾が飾られた服装。
真っ白な肌の色は、まるで雪を思わせるくらいに綺麗だった。
―異国の人かしら。
そう思うが否や自然と興味を惹かれた私は知らぬ間に一歩、また一歩と彼に歩み寄っていた。