花嫁と咎人

そして散々笑った後、急に真顔になると


「寝言は寝てから言えよ。」


そう言って口元を歪めた。

父はそんなオズの顔を見て「お前は誰だ」と声にならない声をあげ…鋭い視線を彼に向ける。

対してオズは


「名乗るほどのモンでもないよ。」


と嫌味ったらしく笑みを浮かべたまま、何かを突き出した。


「…!?」


それは丁寧に布で巻かれた小包みで。

彼は無言のままそれを開くと…


「その濁った目玉むき出して、よーく見てろ。」


中身を取り出した。


まず初めに飛び出したのは、豪華な装飾品。


「…それは、母様しか身に着ける事ができない物だ。」


それを見て、思わずルエラが声を上げる。


「間違い無く…アルベルタさんのもの。」


確認するように、オズは無言の父を見つめて…次の装飾品へ。
そしてそれを何度か繰り返した後、彼は父に丸められた羊皮紙を差し出した。

何が書いてあったのかは分からない。
けれどそれに目を通した父の表情は見る見る変わっていき、


「…こ、これは…アルベルタのものではない…!」


挙句の果てにはそう言って、羊皮紙をオズに投げ返した。


すると…オズは一度だけ笑みを浮かべ…


「このカス野郎が…!」


次の瞬間、思い切り父の襟首を掴んで怒鳴った。


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