花嫁と咎人
すると女性は「ウィリー!この馬鹿!アンタホントに馬鹿ね!」と何度も男を小突き…
「す、すみませぇん…こい、この子、まだ若いもので…」
何度も咳払いして視線を戻す―…が。
「あら。そちらの方は?」
その視線はルエラを通り越してオズの方へ。
まさかの展開にオズはギクリとして後ろを向くが…
「今日、大活躍を成された…ん?もしかして…あの、ヴァルドヴァレスの…」
「…ち、違…」
「いえ、やっぱりそうだわ!」
「ちちち違いまーす!」
刹那、裏声でそう告げると、オズは逃げた。
「あ!待ちなさい!ウィリー、車!」
そしてその後を追いかける新聞記者達。
「おーいオズ君!その服、着替えたほうがいいぞー!」
そんな彼の後姿に声を投げながら、ルエラは優しく微笑んだ。
夕焼け空と同じ色の瞳を煌々と揺らめかせて…
仰ぎ見るのは、弟のいる国の空。
「さあハインツ、今度は私の番だ。」