花嫁と咎人

「その一。報酬は先払い。」


そして二本目を立て、


「その二。報酬は、その額以上を支払え。」


笑った。


その刹那、他の賊員達がゲハゲハと大声を上げて笑い始める。


「―っ、小賢しい真似を…!」


それに逆上して剣に手をかけるフレッドだったが…


「止めろ。」


オーウェンに静止され、

「…承知。」


不満そうに眉をひそめながらも静かに後ろに下がった。

それからオーウェンは再び賊頭と向き直り小さく咳払いをして。


「…分かった。お前達の言う掟とやらに従おう。」


そう言えばニヤリと歪む賊頭の口元。


「ただし。」


だが、オーウェンは引き下がらなかった。


「引き渡して貰う前に、一度二人に会わせて貰おうか。」


するとその瞬間、賊頭の口元から笑みが消え「ああん?」と怪訝の声が漏れて。


「…何言ってんだ、そんな事…で」


「…出来ない?ふん、おかしいな。引き渡す前に報酬を払えとは言われたが…」


どちらが悪魔か。
笑みを浮かべるオーウェンは、只賊頭を見つめ…口を開いた。




「会わせないとは、言われていない。」





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